椎田南ICの手前付近に神社があるのはずっと知っていた。
豊前市中村の角田八幡神社だ。

大きな鳥居や

敷地にめぐらせれた石垣。

木に覆われていて外からは赤い朱塗りの社殿があるぐらいしか分からなかったけど、足を踏み入れると多くの見どころがある。
「朱塗りの拝殿と見事な彫刻が施された本殿」
新京築風土記に「朱塗りの拝殿と見事な彫刻が施された本殿」と記されていたとおり、近くで見るとその見事さがよく分かる。



拝殿の天井画。

花や自然が描かれている。
色褪せてはいるものの、朱塗りの拝殿に合う華やかさだ。
天井画といえば築上郡築上町小原の正八幡宮でも見た記憶がある。
豊前や周辺では身近に古い歴史が残っているものだから驚く。
その時同行していた海外の方も驚いていた。

拝殿正面の神社の門。

こちらにも天井画が。拝殿のものよりもずっと新しい感じ?
角田八幡神社の歴史

豊前ロータリークラブの看板には「角田八幡宮」と書かれている。
祭神は「仲哀天皇」「神功皇后」「応神天皇」「仁徳天皇」「比咩大神」の五柱だ。
「比咩大神」の後に「素盞鳴命の姫」とカッコ書きがある。
あまりこのような説明を見たことがないので珍しいのではないだろうか。
社の歴史は古く、貞観元年(859年)にこの土地で祀られたのが始まり。
新京築風土記には「長元四年(1031年)に宇佐神宮の領地である荘園の一つとして、角田荘(すみだのしょう)が成立すると、庄内九カ村の人々の信仰を集めた」と書かれている。
大分県国東半島の田染荘(たしぶのしょう)に行った時に、そこも宇佐神宮の荘園であったことを知ったが、豊前のこのエリアもそうだったのかと宇佐神宮の領地の広さたるや。
「福岡県内で1番古いと言われる棟札」
神社に残されていた1289年〜1867年の棟札は、豊前市の有形民俗文化財に指定されて、求菩提資料館の保管されているそうだ。
本によれば「棟札とは、公二の由緒や建築年月、施主、工事関係者の名前などを記した木札で、社殿造営の変遷を今に伝える貴重な史料」とある。
棟札が残る神社は多くても、鎌倉時代から江戸時代までの棟札が残っているのは珍しく、1289年の棟札は福岡県内でも一番古いと言われているそうだ。
そんな棟札が資料館に保管されていたとは。
何度か求菩提資料館には足を運んでいたのだが知らなかった。
以前取材をした時に、常設展示以外にも様々な貴重な史料が保管されていると職員の方から耳にしたが、そのうちの一つだったのかもしれない。
「五穀豊穣を祈って鉦や太鼓を打ち鳴らす楽打ち『豊前楽』」

「貞観年間清和天皇の行幸に楽を奏し豊前楽として今日まで保存され五月十九日の例祭には奉納されている」と看板にもあるように、春の神幸祭(5月の第三土・日曜日)に隔年で奉納されているそうだ。

秋祭り(11月の第三日曜日)と正月には神楽が奉納されているようだ。
奉納されている中村神楽は「芸態は築城の赤幡神楽の影響が強い」「豊前の神楽の中でも系統が違うもの」などと言われているというのが興味深い。
「新京築風土記」の紹介
歴史とカメラが好きなWebライターが、豊前エリアの歴史の専門家から教えてもらった本を携え、あちこち巡っています。
京築エリアの歴史巡りのお供におすすめです。
角田八幡神社の情報(住所・地図)
〒828-0003 福岡県豊前市